コイチヨウラン　Ephippianthus schmidtii　（小一葉蘭　ラン科）

うっかりすると見落としてしまいそうな、大きさが1センチにも満たない小さな花です。美しい唇弁は、確かにこの花がラン科に属することを示しています。「コ」のないイチヨウランと同様に、根元に1枚だけ楕円形の葉を付けます。 アポイ岳や札幌近郊の空沼岳で見かけたことがありますが、この写真はカムイエクウチカウシ山の下山途中、八ノ沢の右岸で咲いていた花です。重荷を背負っての緊張する上部の沢の下降を終え、ほぼ登山道化した踏み跡を黙々と辿り、もう少しで札内川との出合いという所で見つけました。もう、バテバテの状態でしたので、これ幸いとばかりに写真撮影を兼ねて休憩となりましたが、こういう花を見ると疲れも吹き飛んでしまいます。撮影後は、出合いで休憩することなくそのまま札内川を下り、七ノ沢出合いからの林道ではキツリフネの種子を飛ばして遊んだりして、八ノ沢カールから6時間弱で駐車地点に帰り着きました。 念願のカムイビランジを見られた上に、カールに咲く数多くの高山植物を堪能し、そしてコイチヨウランのおまけまで付いて、とても有意義な花見山行でした。2003年の私たちの「一名山」です。（2003年8月7日　カムイエクウチカウシ山にて撮影）