Fringed Polygala
Polygala paucifolia, Milkwort Family (Polygalaceae)

メリーランド州の北西の端に位置するギャレット郡は、高地にあって寒冷な地域であり、「メリーランドの小さなスイス」と呼ばれます。そのためにワシントンDC近辺では見られないフォームフラワーやスターフラワーなど多くの北方系の花が分布し、州内では珍しい花の宝庫となっています。本種もその1つで、5月上旬にその独特な姿をした花を見ることができます。ゲイウィングス（Gaywings）の別名もあります。 草丈は7.5～17.5センチ。一見ラン科植物の唇弁のように見える、先端が細かく切れ込んだ花弁が美しいです。花の形は飛行機や医療用の翼状針を彷彿させます。大きな翼のように見えるのはがく片です。3枚の花弁のうちの2枚が合わさって筒状になり、残りの1枚の先が細かく裂けています。葉が完全に展開する前に花が咲きだし、1つの茎に2つや3つの花をつけているものも散見されます。日本のヒメハギ（P. japonica）に似ていますが、花のサイズは本種の方がずっと大きく、長さは2センチもあります。 一般名の "polygala" は、この花が属するヒメハギ科の属名（Polygalaceae）を流用しています。ギリシャ語の "poly（多い)" と "gala（乳）" に由来し、牛や乳母がこの属の花を食すると乳の出がよくなるという言い伝えによります。英語でもヒメハギ科はミルクワート（Milkwort）といいます。しかし、これは迷信に過ぎず、本当はそのような効果はないそうです。（上：2005年6月5日、中・下： 2006年5月6日 Finzel Swamp にて撮影）