Foamflower (False Mitterwort)
Tiarella cordifolia, Saxifrage Family (Saxifragaceae)

山地の湿った林床などに生育する、日本のズダヤクシュ（T. polyphylla）の仲間です。一般名の"foam"は泡の意味で、白い花がたくさん咲いている様子を泡に見立てたものです。同じユキノシタ科のマイターワートに葉の形が似ているので、フォルス・マイターワート（False Miterwort）とも呼ばれます。ちなみに日本のズダヤクシュについては、「ズダ」がぜん息の信州の方言、「薬種」は薬になるという意味で、ぜん息に効く薬草であることからこの名がついています。 草丈は15～30センチで、5〜6月に茎の上部にたくさんの花を咲かせます。花の幅は6ミリほど。がく片と細い糸状の花弁がそれぞれ5枚、長い雄しべは10本あります。花茎には葉がありませんが、根元から長い柄のあるカエデのような葉が出ます。 葉の形や雄しべが飛び出た花の雰囲気は日本のズダヤクシュによく似ています。しかし、本種の雌しべはすっきりとした円錐形で、花弁状のがく片も大きく開き、また、花つきもよいこともあって、北米版の方が美しく感じられます。また、日本版では葉は茎に互生するのも相違点です。 北方系の花で、北米北部ではよく見られるようですが、ワシントンDC近辺には分布しません。メリーランド州の北西端に位置するギャレット郡の自然公園でわずかに自生しているのを目にするだけです。ウィートン地域公園などDC近郊のいくつかの公園では植栽してあるのを見ることができます。 （2005年6月5日 New Germany State Park にて撮影）