シハイスミレ （紫背菫）
Viola violacea　【スミレ科スミレ属】

2010年5月1日　栃木県矢板市にて撮影

本州・四国・九州に分布し、特に西日本で多く見られるスミレです。葉の裏が紫色を帯びていることが和名の“シハイ（紫背）”の由来です。福島県が分布の北限とされ、いわき市に記録があります。東日本には本種の変種であるマキノスミレが分布し、両者は葉の形（シハイスミレは長卵形、マキノスミレは長披針形）や広げ方（シハイスミレはななめ上向き、マキノスミレはほぼ垂直）で見分けることができます。マキノスミレは福島県内では見る機会が多いのですが、このシハイスミレに関しては、これまで「これぞシハイスミレ」と断言できる個体にはまだ出会ったことがありません。実際、県版のレッドデータブックの調査では、確認されず現状不明となっています。近畿地方など両者が混生する他の地方でも、中間的なタイプもあって、見分けるのは難しいようです。お隣の栃木県では典型的なシハイスミレを見ることができました。今後、福島県内でも探し続けるつもりです。

2010年5月1日　栃木県矢板市にて撮影